これから必要な思考力!をトレーニングするには、「書くこと」が大切!?

「今からスマホで『伝染病』と調べてください。」

「思考力」よく聞く言葉、言わばHOTワードであるが、「具体的にどのような力ですか?」と聞かれると、答えるのに躊躇する人は少なくないです。
「思考力」について、松本はある印象的なエピソードを紹介してくれました。大学教授だった時に、医学部の生徒から聞いた話です。

伝染病についての講義中、教授がしばらく黙り込んだ後、このように指示を出した。
「今からケータイで『伝染病』と調べてください。そして、どのような病気があるのか教えてくれますか?」
生徒たちは素直に指示に従い、画面に表示された伝染病を答えた。
その回答を聞いた教授はこのように言ったのだという。
「今君たちが答えたものを覚えてもらうのが今日の講義の内容です。
 僕が学生の頃は必死になって覚えたけど、君たちは調べればすぐに出てくる。
 本当にこの伝染病の名前を覚えてもらうことが必要なのか、僕には分からない。」

このエピソードからも分かるように、「知識」の価値は確実に下がってきています。AIやネットの発達によって、これからその動きは加速し続けることは間違いありません。そこで注目されているのが冒頭にも出てきた「思考力」。この言葉自体がたくさんの意味を含んでいるため、明確に定義することは難しいですが、
「相手にとって必要な情報が何かを考え、その情報を最適な方法で見つけ出す力」であると松本は定義します。つまりは、「答えのない課題に向き合う力」とでも言うことができるでしょう。

「Do you like an apple?」と質問すれば、思考力を確かめ方法

「答えのない課題に向き合う力」が育っているのかどうか、
「Do you like an apple?」と聞くことでそれを判断することができます。
・思考力がある子→理由をつけて自分の意見を言うことができ、
・思考力がない子→理由を言わずに、ただ自分の意見を言うだけで終わる。という場合が多いです。
もちろん一概には言えないですが、確かに、「理由が言える」ということは、「どうして好きなのか」ということを考える必要があり、「コミュニケーション」という観点からみても、理由まで言った方が盛り上がることは間違いないので、一理あるような気がします。

確かに、学校現場でも「理由を話す」ということは徹底され始めていて、自分もよく「どうして?」と聞いていましたが、それは学校や教師によってバラツキがあると感じます。理由があって始めて意見になるということは小学1年生のころから繰り返し指導するので、それだけ「思考力」は求められているということです。

だだをこねたときこそ、思考力トレーニングのチャンス!

思考力があるか、ないかが分かったところで、それをトレーニングできないと意味が無いと思います。簡単にトレーニングする方法はプレゼンテーションです。生活の中にプレゼンテーションを組み込むことで、子ども達は必死になって「相手を説得する方法」を考えるようになるでしょう。つまり、子どもの「買って買って!」こそが、思考力のトレーニングのチャンスなのです!
とは言っても、だだをこねる状況になってから、「では、プレゼンを、、」なんて言っても絶対に聞かないのは明らかです。なので、大切なのは
①あらかじめルールを作っておくこと
②「買う」のはどのような時なのか具体的に共通理解を作っておくこと の2つです。
子どもも、「結局いつも買ってもらえないじゃん!」となっては、やる気を失うので、「説得力のある伝え方」とはどのようなものなのかをきちんと教え、納得したときには買ってあげれば、やる気をもって、楽しみながら伝える力をトレーニングすることができます。
「じゃあその時のルールって?」という質問にはまた別の機会にお話します。

少しだけ、お話すると、HOTS Academyの評価規準に合わせると、
①主張をまず最初に言っているか。
②その主張に対して、3~4文で説明(理由や具体例・体験など)しているか
③買って欲しい理由が、親のことも考えた理由になっているか
という3つになるでしょう。これはアカデミックな観点でのルールですので、いきなりここから始めるのは難しいです。なので、少し簡単にして始めることをおすすめします。

書くことは「じっくり考えること」である

そうして、話すことでトレーニングしているうちに、10歳ごろになると、「書くこと」が大切になります。その理由は、「じっくり考えることができる」からです。算数でも、学年が上がると、図や絵を用いて説明することが求められるようになります。いわば説明の道具が増えていくように、「話す」→「書く」レベルアップする必要があるのです。就活の際にもまずエントリーシートを書いたり、意見を論文で発表したりすることを踏まえると、高次な思考に「書くこと」は欠かせないということが分かりますが、いかんせん「書くこと」が苦手な子は多いです。なぜなら、日本では、、

「書くことの指導が行われていない」のです。

「まずは思ったように書けば良いんだよ」という指導が多いのが現状です。
次回は、「作文教育」について更新予定です。

この記事を書いた人

渡辺 怜(HOTS徳島)

広島大学を卒業後、地元・徳島県にて小学校教員としてキャリアを積む。その後、「教育の本質”学びの楽しみを実感し、人生を豊かに”を子どもたちに経験してほしい」との思いから教員を退職。現在は、HOTS Academy マーケティング担当、NPO法人「C.A.M.E.」(多文化共生)教材制作責任者他。一児の父として、奮闘中!