主張ができない日本人

1.読解力だけ気にしていませんか?

「情報リテラシー」という言葉をご存じですか?コトバンクによれば、「情報技術を使いこなす能力、情報を読み解き活用する能力」のことを指します。しかし、日本では「情報の正誤を判断できる能力」や「批判的思考を使って情報を読み解く能力」のように考えている人が多いのではないでしょうか。つまり、「情報の読解」という点は理解しているけれども、「情報の活用」に目を向けている教育課程は基本的にありません。これは何が原因でしょうか?実は、日本は「発信すること」に関する教育が体系的に行われていないのです。

2.学校教育では教えてくれない「伝える力」

いまやインターネットを使えばだれでも情報を不特定多数の人に届けることができる時代です。しかし、その風潮に日本の学校教育が下した判断は「情報の正誤を判断する力をつけましょう」「情報を正しく理解するトレーニングをしましょう」というものでした。それももちろん間違いではないのですが、明らかに子どもたちが「情報を発信する側に立つ」という想定がされていません。そのため、テストで筆者の主張やその理由を読み解く問題は頻繁に出てくるのに、自分の主張やそれを伝えるための文章を書くといった問題はほぼ出題されません。

3.なぜ「伝える力」を育てられないの?

では、なぜ日本の学校教育は「伝える力」をつけようとしないのでしょうか?この原因は日本の文化にあります。飛鳥時代までさかのぼると、聖徳太子が「和をもって~」と十七条憲法で訴え、鎌倉時代には「御恩と奉公」をスローガンに戦い、江戸時代には五人組制度により近所の人たちと一致団結し、現代でも会社や学校という組織で協調性がうたわれる日本では、「自分の意見を述べること」よりも「まわりに合わせ、うまくやっていくこと」に重きを置くという価値観ができあがっているのです。それがいいか悪いかは別として空気を読む、相手とうまくやることこそ日本で上手に生きていく方法なのです。したがって、日本の学校教育はそういった文化や価値観に合わせて教育を行ってきました。しかし、グローバル化によって価値観が多様になった今、その教育は揺らぎ始めています。

4.「伝える力」のトレーニング

では、学校で伝える力をつけることができないなら、どうしたらいいのでしょうか?実は、発信する力はトレーニングによって鍛えることができます。自分が伝えたいことは何か、どんな説明をすれば説得力が増すか、説明するに十分な事実や情報は足りているかなど、伝える側は考えなければならないことはたくさんあります。すべて、順を追って発信するうえでのポイントを知り、トレーニングを重ねることが必要です。ぜひ、HOTsアカデミーで伝える力をつけるトレーニングをしてみませんか?

この記事を書いた人

渡辺 怜(HOTS徳島)

広島大学を卒業後、地元・徳島県にて小学校教員としてキャリアを積む。その後、「教育の本質”学びの楽しみを実感し、人生を豊かに”を子どもたちに経験してほしい」との思いから教員を退職。現在は、HOTS Academy マーケティング担当、NPO法人「C.A.M.E.」(多文化共生)教材制作責任者他。一児の父として、奮闘中!